乙女ゲームのことやら色々よろずに日々思いついたことなどをつらつら書いております。ノーマルも勿論好きですが、腐ってるのも好きなので、苦手な人は注意。
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望美の夢を見てから、また1ヶ月が過ぎようとしていた。
噂で聞く限り、九郎の置かれている状況はあまりよくないらしい。
「・・・気になるのなら、会いにいけばいいだろう?有川」
「無理に決まってるだろう?平家の者が見つかったら、洒落にならない」
「こちらが思っているよりも・・・顔はわれていないと思うがな・・・」
「だいたい会って何になる?九郎をここに連れてくるなんて、それこそ無茶な話だ」
「くっ・・・還内府殿には元の世界に帰るという選択肢はないようだ・・・」
「・・・」
いつだったか、白龍が言っていた。望美が帰ってすぐぐらいだろうか、帰りたいと思った時に帰れると・・・。
しかし、将臣は平家のことが気になって、未だに帰れずにいた。
「もう・・・十分じゃないか?」
「・・・でも・・・」
「不安なら・・・俺がついていってやるぜ、兄上」
「お前におもりされるようなら、終わりだろうよ」
「・・・これからは一門のことは一門でやるさ・・・」
これはもしかしたら知盛のささやかな気遣いなのかもしれない。将臣があまりに気にしているから・・・。
「・・・様子ぐらいなら見に行ってもいいかもしれねえな・・・」
気になるのだから仕方がない。自分だけ見つかるなら、それもそれで諦めがつくだろう。
ただ、純粋に九郎に会いたい。
「それならば・・・俺も行こう。丁度退屈していたところだ」
「はぁっ?!駄目に決まってんだろ!!お前は平家の将なんだぞ!!」
「くっ・・・戦を好む俺が、このような場所で満足するわけないだろう?お前が何と言おうと、一緒に行くぜ・・・兄上」
「・・・ったく・・・」
こうして将臣の奥州へ行くことになった。
頼りになるのかならないのか分からない、年上の弟を連れて・・・。
噂で聞く限り、九郎の置かれている状況はあまりよくないらしい。
「・・・気になるのなら、会いにいけばいいだろう?有川」
「無理に決まってるだろう?平家の者が見つかったら、洒落にならない」
「こちらが思っているよりも・・・顔はわれていないと思うがな・・・」
「だいたい会って何になる?九郎をここに連れてくるなんて、それこそ無茶な話だ」
「くっ・・・還内府殿には元の世界に帰るという選択肢はないようだ・・・」
「・・・」
いつだったか、白龍が言っていた。望美が帰ってすぐぐらいだろうか、帰りたいと思った時に帰れると・・・。
しかし、将臣は平家のことが気になって、未だに帰れずにいた。
「もう・・・十分じゃないか?」
「・・・でも・・・」
「不安なら・・・俺がついていってやるぜ、兄上」
「お前におもりされるようなら、終わりだろうよ」
「・・・これからは一門のことは一門でやるさ・・・」
これはもしかしたら知盛のささやかな気遣いなのかもしれない。将臣があまりに気にしているから・・・。
「・・・様子ぐらいなら見に行ってもいいかもしれねえな・・・」
気になるのだから仕方がない。自分だけ見つかるなら、それもそれで諦めがつくだろう。
ただ、純粋に九郎に会いたい。
「それならば・・・俺も行こう。丁度退屈していたところだ」
「はぁっ?!駄目に決まってんだろ!!お前は平家の将なんだぞ!!」
「くっ・・・戦を好む俺が、このような場所で満足するわけないだろう?お前が何と言おうと、一緒に行くぜ・・・兄上」
「・・・ったく・・・」
こうして将臣の奥州へ行くことになった。
頼りになるのかならないのか分からない、年上の弟を連れて・・・。
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「・・・弁慶が来ない・・・」
いつまで経っても来ない弁慶に九郎は痺れを切らしていた。北に移動しろとはいったいどういうことなのだろう。
悪い予感がした九郎は一旦引き返すことにした。
「・・・九郎か」
「泰衡!弁慶について何か知らないか?来ないんだ」
「・・・どうして戻ってきた?今までのことを考えれば、あの男のとる行動ぐらい分かるはずだろう」
「泰衡?」
「弁慶ならお前を逃がす為に、囮になった。今ならまだ遅くはない。逃げろ」
「!!」
逃げるなど、九郎の選択肢にはなかったことだ。弁慶を犠牲にしたまで、逃げる意味なんてない。今まで共に過ごしてきたのだから・・・。
「そんなの・・・俺には出来ない・・・俺がもう一度兄上と話し合って・・・!」
「無駄だ。今までもそうだったのだ。無理に決まっている」
「しかし!」
「どうしてもというのなら、平家を頼るといい。つてがあるのだろう?」
「な・・・!」
将臣を頼れというのか?
裏切ったあいつを・・・?
「それは・・・出来ない」
「ではどうするつもりだ」
「・・・弁慶が戻ってくるのを待つ」
「帰っては来ないぞ」
「いや、絶対帰ってくるんだ!策があると言っていたんだから!!」
帰ってこないことなんて自分でも分かっていた。
それでも自分だけ逃げるようなことだけはしたくなかったのだ・・・。
いつまで経っても来ない弁慶に九郎は痺れを切らしていた。北に移動しろとはいったいどういうことなのだろう。
悪い予感がした九郎は一旦引き返すことにした。
「・・・九郎か」
「泰衡!弁慶について何か知らないか?来ないんだ」
「・・・どうして戻ってきた?今までのことを考えれば、あの男のとる行動ぐらい分かるはずだろう」
「泰衡?」
「弁慶ならお前を逃がす為に、囮になった。今ならまだ遅くはない。逃げろ」
「!!」
逃げるなど、九郎の選択肢にはなかったことだ。弁慶を犠牲にしたまで、逃げる意味なんてない。今まで共に過ごしてきたのだから・・・。
「そんなの・・・俺には出来ない・・・俺がもう一度兄上と話し合って・・・!」
「無駄だ。今までもそうだったのだ。無理に決まっている」
「しかし!」
「どうしてもというのなら、平家を頼るといい。つてがあるのだろう?」
「な・・・!」
将臣を頼れというのか?
裏切ったあいつを・・・?
「それは・・・出来ない」
「ではどうするつもりだ」
「・・・弁慶が戻ってくるのを待つ」
「帰っては来ないぞ」
「いや、絶対帰ってくるんだ!策があると言っていたんだから!!」
帰ってこないことなんて自分でも分かっていた。
それでも自分だけ逃げるようなことだけはしたくなかったのだ・・・。
「泰衡殿・・・お話があります」
「・・・弁慶か」
珍しいこともあるものだと、泰衡は思う。弁慶が1人でこちらに赴くことは殆どない。普段なら九郎を連れてくるはずだ。
しかし、いないということは九郎に関係する話なのだろう。泰衡は自然と眉間に皺をよせた。
「鎌倉に勝つ勝算はありますか?」
「・・・ないわけではない」
「しかし、難しいのでしょう?だからどうかお願いがあるんです」
弁慶はいつになく真剣な顔で言う。
「僕が鎌倉の武士達を牽きつけます。その間に九郎を北へ逃がして下さい」
「・・・そのようなこと、九郎が許すと思うか?絶対にお前を見捨てていくことは出来まい」
「偽りの情報を与えれば大丈夫でしょう。九郎は僕のことを信じている・・・きっとうまくいくはずです」
「万が一うまくいったとしても、九郎が戻ってくるのではないか?お前のことを心配して・・・」
「その時は泰衡殿、九郎に説得して下さい。どうか北へ逃げろと」
「素直に聞くようには思えんがな・・・」
「・・・もし、平家方と連絡がついたなら・・・その時は還内府に事情を説明して下さい。きっと助けになってくれます」
「敵だった奴を頼るのか?馬鹿馬鹿しい」
「敵でもありますが・・・九郎のことを大切に想っている節があります。無碍には出来ないでしょう」
「妙に信頼しているのだな」
「同じ八葉でしたからね」
白龍の神子がどういうものだったか泰衡は知らない。しかし、弁慶が神子に関することを言う時は必ず表情が優しくなる。それほど弁慶にとって神子は大事だったということか・・・。
「九郎を頼みましたよ、泰衡殿」
「・・・勝手なことを」
弁慶は、九郎に関することで泰衡が動いてくれることを知っている。だから頼むのだ。
罪人の身と割り切って、九郎を守ると決めた弁慶の意志は固い。
泰衡には断るという選択肢はなかった。
九郎を守るという気持ちは弁慶と変わらないからだ。
「・・・弁慶か」
珍しいこともあるものだと、泰衡は思う。弁慶が1人でこちらに赴くことは殆どない。普段なら九郎を連れてくるはずだ。
しかし、いないということは九郎に関係する話なのだろう。泰衡は自然と眉間に皺をよせた。
「鎌倉に勝つ勝算はありますか?」
「・・・ないわけではない」
「しかし、難しいのでしょう?だからどうかお願いがあるんです」
弁慶はいつになく真剣な顔で言う。
「僕が鎌倉の武士達を牽きつけます。その間に九郎を北へ逃がして下さい」
「・・・そのようなこと、九郎が許すと思うか?絶対にお前を見捨てていくことは出来まい」
「偽りの情報を与えれば大丈夫でしょう。九郎は僕のことを信じている・・・きっとうまくいくはずです」
「万が一うまくいったとしても、九郎が戻ってくるのではないか?お前のことを心配して・・・」
「その時は泰衡殿、九郎に説得して下さい。どうか北へ逃げろと」
「素直に聞くようには思えんがな・・・」
「・・・もし、平家方と連絡がついたなら・・・その時は還内府に事情を説明して下さい。きっと助けになってくれます」
「敵だった奴を頼るのか?馬鹿馬鹿しい」
「敵でもありますが・・・九郎のことを大切に想っている節があります。無碍には出来ないでしょう」
「妙に信頼しているのだな」
「同じ八葉でしたからね」
白龍の神子がどういうものだったか泰衡は知らない。しかし、弁慶が神子に関することを言う時は必ず表情が優しくなる。それほど弁慶にとって神子は大事だったということか・・・。
「九郎を頼みましたよ、泰衡殿」
「・・・勝手なことを」
弁慶は、九郎に関することで泰衡が動いてくれることを知っている。だから頼むのだ。
罪人の身と割り切って、九郎を守ると決めた弁慶の意志は固い。
泰衡には断るという選択肢はなかった。
九郎を守るという気持ちは弁慶と変わらないからだ。
「・・・将臣くん」
「望美か・・・」
「やっぱり会えたね・・・」
「そうだな・・・」
一言二言、言葉を交わした後、しばらく沈黙が続く。言いたいこと、聞きたいこと、互いにあるのに、何故か言い出せなかった。
「将臣くん・・・私ね・・・」
先に沈黙を破ったのは望美。深刻な面持ちでうつむいていた。
「元の世界に帰ってきたんだ・・・」
「そう・・・なのか・・・」
「うん・・・弁慶さんが帰って下さいって・・・」
「弁慶が?」
弁慶は望美のことを好きなはずだ、と将臣は認識していた。その弁慶が望美を帰すとは甚だ信じがたい。
しかし、望美の表情を見る限り本当なんだろう。
「私ね・・・弁慶さんのこと好きだったよ。今だって、すごく大好き・・・でもね、弁慶さんが望んだことだから、私・・・」
「・・・ああ」
「私達の世界じゃ、源義経と武蔵坊弁慶はどうなったっけ?」
「・・・平泉で討たれるな・・・」
「そうだよね・・・うん・・・」
「こっちの世界でもそうとは限らないだろう?大丈夫さ」
本当は将臣もそう思いたいだけで、九郎のことをとても心配している。もし歴史通りにことが進んだら・・・そう思うと不安でどうしようもなくなる。
「うん・・・」
周りが明るくなってきた。もうそろそろ夢の終わりだ。
「将臣くん、私は将臣くんが還内府だって知ってたの」
「そうだろうな」
「最初はびっくりしたけど、将臣くんにも理由があるんだよね。私が源氏にいるのと同じように」
「・・・ああ」
「だからね、きっと九郎さんとも仲直りできるよ」
そう言って望美は消えた。優しく微笑んで。
「あいつにまでバレてたのかよ・・・」
朝焼けがやけに眩しかった。
「望美か・・・」
「やっぱり会えたね・・・」
「そうだな・・・」
一言二言、言葉を交わした後、しばらく沈黙が続く。言いたいこと、聞きたいこと、互いにあるのに、何故か言い出せなかった。
「将臣くん・・・私ね・・・」
先に沈黙を破ったのは望美。深刻な面持ちでうつむいていた。
「元の世界に帰ってきたんだ・・・」
「そう・・・なのか・・・」
「うん・・・弁慶さんが帰って下さいって・・・」
「弁慶が?」
弁慶は望美のことを好きなはずだ、と将臣は認識していた。その弁慶が望美を帰すとは甚だ信じがたい。
しかし、望美の表情を見る限り本当なんだろう。
「私ね・・・弁慶さんのこと好きだったよ。今だって、すごく大好き・・・でもね、弁慶さんが望んだことだから、私・・・」
「・・・ああ」
「私達の世界じゃ、源義経と武蔵坊弁慶はどうなったっけ?」
「・・・平泉で討たれるな・・・」
「そうだよね・・・うん・・・」
「こっちの世界でもそうとは限らないだろう?大丈夫さ」
本当は将臣もそう思いたいだけで、九郎のことをとても心配している。もし歴史通りにことが進んだら・・・そう思うと不安でどうしようもなくなる。
「うん・・・」
周りが明るくなってきた。もうそろそろ夢の終わりだ。
「将臣くん、私は将臣くんが還内府だって知ってたの」
「そうだろうな」
「最初はびっくりしたけど、将臣くんにも理由があるんだよね。私が源氏にいるのと同じように」
「・・・ああ」
「だからね、きっと九郎さんとも仲直りできるよ」
そう言って望美は消えた。優しく微笑んで。
「あいつにまでバレてたのかよ・・・」
朝焼けがやけに眩しかった。
「・・・」
「珍しいな・・・お前がそんなに塞ぎこんでいるとは・・・」
「知盛か・・・」
知盛が酒を持ってやってきた。
平家が南の島に逃げ延びて、どれぐらいたっただろうか。
「・・・源氏の御曹司が頼朝に追われているようだな・・・」
「知ってるさ」
知っているからこそ、気がかりなのだ。
確かに九郎や望美達を捨てて、平家を選んだこと、決して後悔なんかしない。絶対に譲れなかったことなのだから。でも、だからと言って心配しないはずがない。
九郎と戦場で会った時は、これは悪い夢なんじゃないかと思った。でも、これは現実であり、もし夢だったとしても、平家を見捨てるなど、有り得ないことだ。
でも、どうしても九郎の顔が忘れられない。
笑った顔も、照れた顔も忘れられるはずがない。
「器用ではないな・・・還内府殿も」
「うるせえよ」
将臣は知盛から奪うようにして、酒を飲み干す。
でも今夜は酔えそうにない。
「忘れられぬなら会いに行けばいいものを・・・」
「出来るか、そんなこと」
一度は裏切ったのだ。簡単に会いにいけるはずがない。
「満月・・・か?」
「くっ・・・有川も感傷的になることがあるのだな・・・」
「そういうんじゃねえよ」
満月の夜は不思議なことに望美と夢の中で会える。今、どうしてるかぐらいは聞けるだろう。
あの幼馴染は将臣のことも分かっていた風だったから、会うことを拒絶したりはしないだろう。
将臣は少し早く就寝することにした。
「珍しいな・・・お前がそんなに塞ぎこんでいるとは・・・」
「知盛か・・・」
知盛が酒を持ってやってきた。
平家が南の島に逃げ延びて、どれぐらいたっただろうか。
「・・・源氏の御曹司が頼朝に追われているようだな・・・」
「知ってるさ」
知っているからこそ、気がかりなのだ。
確かに九郎や望美達を捨てて、平家を選んだこと、決して後悔なんかしない。絶対に譲れなかったことなのだから。でも、だからと言って心配しないはずがない。
九郎と戦場で会った時は、これは悪い夢なんじゃないかと思った。でも、これは現実であり、もし夢だったとしても、平家を見捨てるなど、有り得ないことだ。
でも、どうしても九郎の顔が忘れられない。
笑った顔も、照れた顔も忘れられるはずがない。
「器用ではないな・・・還内府殿も」
「うるせえよ」
将臣は知盛から奪うようにして、酒を飲み干す。
でも今夜は酔えそうにない。
「忘れられぬなら会いに行けばいいものを・・・」
「出来るか、そんなこと」
一度は裏切ったのだ。簡単に会いにいけるはずがない。
「満月・・・か?」
「くっ・・・有川も感傷的になることがあるのだな・・・」
「そういうんじゃねえよ」
満月の夜は不思議なことに望美と夢の中で会える。今、どうしてるかぐらいは聞けるだろう。
あの幼馴染は将臣のことも分かっていた風だったから、会うことを拒絶したりはしないだろう。
将臣は少し早く就寝することにした。