乙女ゲームのことやら色々よろずに日々思いついたことなどをつらつら書いております。ノーマルも勿論好きですが、腐ってるのも好きなので、苦手な人は注意。
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「泰衡殿・・・お話があります」
「・・・弁慶か」
珍しいこともあるものだと、泰衡は思う。弁慶が1人でこちらに赴くことは殆どない。普段なら九郎を連れてくるはずだ。
しかし、いないということは九郎に関係する話なのだろう。泰衡は自然と眉間に皺をよせた。
「鎌倉に勝つ勝算はありますか?」
「・・・ないわけではない」
「しかし、難しいのでしょう?だからどうかお願いがあるんです」
弁慶はいつになく真剣な顔で言う。
「僕が鎌倉の武士達を牽きつけます。その間に九郎を北へ逃がして下さい」
「・・・そのようなこと、九郎が許すと思うか?絶対にお前を見捨てていくことは出来まい」
「偽りの情報を与えれば大丈夫でしょう。九郎は僕のことを信じている・・・きっとうまくいくはずです」
「万が一うまくいったとしても、九郎が戻ってくるのではないか?お前のことを心配して・・・」
「その時は泰衡殿、九郎に説得して下さい。どうか北へ逃げろと」
「素直に聞くようには思えんがな・・・」
「・・・もし、平家方と連絡がついたなら・・・その時は還内府に事情を説明して下さい。きっと助けになってくれます」
「敵だった奴を頼るのか?馬鹿馬鹿しい」
「敵でもありますが・・・九郎のことを大切に想っている節があります。無碍には出来ないでしょう」
「妙に信頼しているのだな」
「同じ八葉でしたからね」
白龍の神子がどういうものだったか泰衡は知らない。しかし、弁慶が神子に関することを言う時は必ず表情が優しくなる。それほど弁慶にとって神子は大事だったということか・・・。
「九郎を頼みましたよ、泰衡殿」
「・・・勝手なことを」
弁慶は、九郎に関することで泰衡が動いてくれることを知っている。だから頼むのだ。
罪人の身と割り切って、九郎を守ると決めた弁慶の意志は固い。
泰衡には断るという選択肢はなかった。
九郎を守るという気持ちは弁慶と変わらないからだ。
「・・・弁慶か」
珍しいこともあるものだと、泰衡は思う。弁慶が1人でこちらに赴くことは殆どない。普段なら九郎を連れてくるはずだ。
しかし、いないということは九郎に関係する話なのだろう。泰衡は自然と眉間に皺をよせた。
「鎌倉に勝つ勝算はありますか?」
「・・・ないわけではない」
「しかし、難しいのでしょう?だからどうかお願いがあるんです」
弁慶はいつになく真剣な顔で言う。
「僕が鎌倉の武士達を牽きつけます。その間に九郎を北へ逃がして下さい」
「・・・そのようなこと、九郎が許すと思うか?絶対にお前を見捨てていくことは出来まい」
「偽りの情報を与えれば大丈夫でしょう。九郎は僕のことを信じている・・・きっとうまくいくはずです」
「万が一うまくいったとしても、九郎が戻ってくるのではないか?お前のことを心配して・・・」
「その時は泰衡殿、九郎に説得して下さい。どうか北へ逃げろと」
「素直に聞くようには思えんがな・・・」
「・・・もし、平家方と連絡がついたなら・・・その時は還内府に事情を説明して下さい。きっと助けになってくれます」
「敵だった奴を頼るのか?馬鹿馬鹿しい」
「敵でもありますが・・・九郎のことを大切に想っている節があります。無碍には出来ないでしょう」
「妙に信頼しているのだな」
「同じ八葉でしたからね」
白龍の神子がどういうものだったか泰衡は知らない。しかし、弁慶が神子に関することを言う時は必ず表情が優しくなる。それほど弁慶にとって神子は大事だったということか・・・。
「九郎を頼みましたよ、泰衡殿」
「・・・勝手なことを」
弁慶は、九郎に関することで泰衡が動いてくれることを知っている。だから頼むのだ。
罪人の身と割り切って、九郎を守ると決めた弁慶の意志は固い。
泰衡には断るという選択肢はなかった。
九郎を守るという気持ちは弁慶と変わらないからだ。
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「・・・将臣くん」
「望美か・・・」
「やっぱり会えたね・・・」
「そうだな・・・」
一言二言、言葉を交わした後、しばらく沈黙が続く。言いたいこと、聞きたいこと、互いにあるのに、何故か言い出せなかった。
「将臣くん・・・私ね・・・」
先に沈黙を破ったのは望美。深刻な面持ちでうつむいていた。
「元の世界に帰ってきたんだ・・・」
「そう・・・なのか・・・」
「うん・・・弁慶さんが帰って下さいって・・・」
「弁慶が?」
弁慶は望美のことを好きなはずだ、と将臣は認識していた。その弁慶が望美を帰すとは甚だ信じがたい。
しかし、望美の表情を見る限り本当なんだろう。
「私ね・・・弁慶さんのこと好きだったよ。今だって、すごく大好き・・・でもね、弁慶さんが望んだことだから、私・・・」
「・・・ああ」
「私達の世界じゃ、源義経と武蔵坊弁慶はどうなったっけ?」
「・・・平泉で討たれるな・・・」
「そうだよね・・・うん・・・」
「こっちの世界でもそうとは限らないだろう?大丈夫さ」
本当は将臣もそう思いたいだけで、九郎のことをとても心配している。もし歴史通りにことが進んだら・・・そう思うと不安でどうしようもなくなる。
「うん・・・」
周りが明るくなってきた。もうそろそろ夢の終わりだ。
「将臣くん、私は将臣くんが還内府だって知ってたの」
「そうだろうな」
「最初はびっくりしたけど、将臣くんにも理由があるんだよね。私が源氏にいるのと同じように」
「・・・ああ」
「だからね、きっと九郎さんとも仲直りできるよ」
そう言って望美は消えた。優しく微笑んで。
「あいつにまでバレてたのかよ・・・」
朝焼けがやけに眩しかった。
「望美か・・・」
「やっぱり会えたね・・・」
「そうだな・・・」
一言二言、言葉を交わした後、しばらく沈黙が続く。言いたいこと、聞きたいこと、互いにあるのに、何故か言い出せなかった。
「将臣くん・・・私ね・・・」
先に沈黙を破ったのは望美。深刻な面持ちでうつむいていた。
「元の世界に帰ってきたんだ・・・」
「そう・・・なのか・・・」
「うん・・・弁慶さんが帰って下さいって・・・」
「弁慶が?」
弁慶は望美のことを好きなはずだ、と将臣は認識していた。その弁慶が望美を帰すとは甚だ信じがたい。
しかし、望美の表情を見る限り本当なんだろう。
「私ね・・・弁慶さんのこと好きだったよ。今だって、すごく大好き・・・でもね、弁慶さんが望んだことだから、私・・・」
「・・・ああ」
「私達の世界じゃ、源義経と武蔵坊弁慶はどうなったっけ?」
「・・・平泉で討たれるな・・・」
「そうだよね・・・うん・・・」
「こっちの世界でもそうとは限らないだろう?大丈夫さ」
本当は将臣もそう思いたいだけで、九郎のことをとても心配している。もし歴史通りにことが進んだら・・・そう思うと不安でどうしようもなくなる。
「うん・・・」
周りが明るくなってきた。もうそろそろ夢の終わりだ。
「将臣くん、私は将臣くんが還内府だって知ってたの」
「そうだろうな」
「最初はびっくりしたけど、将臣くんにも理由があるんだよね。私が源氏にいるのと同じように」
「・・・ああ」
「だからね、きっと九郎さんとも仲直りできるよ」
そう言って望美は消えた。優しく微笑んで。
「あいつにまでバレてたのかよ・・・」
朝焼けがやけに眩しかった。
「・・・」
「珍しいな・・・お前がそんなに塞ぎこんでいるとは・・・」
「知盛か・・・」
知盛が酒を持ってやってきた。
平家が南の島に逃げ延びて、どれぐらいたっただろうか。
「・・・源氏の御曹司が頼朝に追われているようだな・・・」
「知ってるさ」
知っているからこそ、気がかりなのだ。
確かに九郎や望美達を捨てて、平家を選んだこと、決して後悔なんかしない。絶対に譲れなかったことなのだから。でも、だからと言って心配しないはずがない。
九郎と戦場で会った時は、これは悪い夢なんじゃないかと思った。でも、これは現実であり、もし夢だったとしても、平家を見捨てるなど、有り得ないことだ。
でも、どうしても九郎の顔が忘れられない。
笑った顔も、照れた顔も忘れられるはずがない。
「器用ではないな・・・還内府殿も」
「うるせえよ」
将臣は知盛から奪うようにして、酒を飲み干す。
でも今夜は酔えそうにない。
「忘れられぬなら会いに行けばいいものを・・・」
「出来るか、そんなこと」
一度は裏切ったのだ。簡単に会いにいけるはずがない。
「満月・・・か?」
「くっ・・・有川も感傷的になることがあるのだな・・・」
「そういうんじゃねえよ」
満月の夜は不思議なことに望美と夢の中で会える。今、どうしてるかぐらいは聞けるだろう。
あの幼馴染は将臣のことも分かっていた風だったから、会うことを拒絶したりはしないだろう。
将臣は少し早く就寝することにした。
「珍しいな・・・お前がそんなに塞ぎこんでいるとは・・・」
「知盛か・・・」
知盛が酒を持ってやってきた。
平家が南の島に逃げ延びて、どれぐらいたっただろうか。
「・・・源氏の御曹司が頼朝に追われているようだな・・・」
「知ってるさ」
知っているからこそ、気がかりなのだ。
確かに九郎や望美達を捨てて、平家を選んだこと、決して後悔なんかしない。絶対に譲れなかったことなのだから。でも、だからと言って心配しないはずがない。
九郎と戦場で会った時は、これは悪い夢なんじゃないかと思った。でも、これは現実であり、もし夢だったとしても、平家を見捨てるなど、有り得ないことだ。
でも、どうしても九郎の顔が忘れられない。
笑った顔も、照れた顔も忘れられるはずがない。
「器用ではないな・・・還内府殿も」
「うるせえよ」
将臣は知盛から奪うようにして、酒を飲み干す。
でも今夜は酔えそうにない。
「忘れられぬなら会いに行けばいいものを・・・」
「出来るか、そんなこと」
一度は裏切ったのだ。簡単に会いにいけるはずがない。
「満月・・・か?」
「くっ・・・有川も感傷的になることがあるのだな・・・」
「そういうんじゃねえよ」
満月の夜は不思議なことに望美と夢の中で会える。今、どうしてるかぐらいは聞けるだろう。
あの幼馴染は将臣のことも分かっていた風だったから、会うことを拒絶したりはしないだろう。
将臣は少し早く就寝することにした。
「・・・弁慶・・・本当に良かったのか・・・?望美を元の世界に戻して・・・」
「これ以上彼女を巻き込むわけにはいきませんから・・・」
この先に起こるであろうことを望美さんが知れば、きっと彼女は残ると言い出すでしょう。彼女は優しい人だから、自分を犠牲にするに違いない。それだけは避けたい。
彼女には笑っていてほしいから・・・。
「お前が望美のいた世界に行くことだって可能のはずだ!その方がお前にとっても・・・!」
「九郎」
僕には昔馴染みの君を見捨てることは出来ないんですよ。確かに最初は平家を滅ぼすための拠り所だったのに、君を見てると本当に放って置けなくて仕方ないんですよ。寂しがりやなくせに無理して頑張ってる君を見捨てられるほど、僕の心は鬼じゃなかったみたいですよ。
「僕は君の軍師です。君に付いて行くと決めたからには最後まで付き合いますよ」
「弁慶・・・」
「君は抜けているところがあるから、心配で他の世界に行くなんて考えられませんよ」
きっとこれが僕にとっての最良の選択だから。
まだ九郎には僕が必要だろうから・・・。
いつか君を守ってくれる誰かが見つかるまで・・・。
「これ以上彼女を巻き込むわけにはいきませんから・・・」
この先に起こるであろうことを望美さんが知れば、きっと彼女は残ると言い出すでしょう。彼女は優しい人だから、自分を犠牲にするに違いない。それだけは避けたい。
彼女には笑っていてほしいから・・・。
「お前が望美のいた世界に行くことだって可能のはずだ!その方がお前にとっても・・・!」
「九郎」
僕には昔馴染みの君を見捨てることは出来ないんですよ。確かに最初は平家を滅ぼすための拠り所だったのに、君を見てると本当に放って置けなくて仕方ないんですよ。寂しがりやなくせに無理して頑張ってる君を見捨てられるほど、僕の心は鬼じゃなかったみたいですよ。
「僕は君の軍師です。君に付いて行くと決めたからには最後まで付き合いますよ」
「弁慶・・・」
「君は抜けているところがあるから、心配で他の世界に行くなんて考えられませんよ」
きっとこれが僕にとっての最良の選択だから。
まだ九郎には僕が必要だろうから・・・。
いつか君を守ってくれる誰かが見つかるまで・・・。
何でなんだ?
お前は俺を裏切ったりなんかしないと思ってたのに。
疑う必要なんてないんだと、ずっとそう思ってたのに・・・。
「九郎・・・眠らないと明日の戦に支障が出ますよ。明日で最期なんですから、平家との争いは」
「・・・分かってる」
でも、眠れるはずなんてない。だって明日の敵は将臣なんだ。
「・・・九郎」
「何だ・・・」
「もう将臣くんと仲直りする気はありませんか?」
「当たり前だろう!将臣は還内府で、平家の一員で、源氏の兵もたくさん殺してきたんだ!!許すことなんか出来る訳がないっ!!!」
そう、許してはいけないんだ。俺は源氏であいつは平家。相容れることは出来ない。
あいつもそう思っているはずだ。
「・・・そうですか、それは残念ですね」
「何がだ?」
「・・・・・・もし源氏が負けた場合でも、九郎ぐらいなら助けてもらえるかもしれないでしょう?」
「馬鹿なことを言うな!命乞いをするぐらいなら死んだ方がマシだ!!」
「九郎はそうでしょうね・・・でも、最悪の場合は考えておいて下さいね。この先・・・もっと先の未来かもしれませんけど」
「どういう意味だ?」
「それを今説明しても九郎はきっと信じないでしょうから、言いません。そうですね・・・もしどうしようもなくなったら、その時きっと分かりますよ」
弁慶は時々よく分からないことを言う。
そんなことを考えることなど有りはしないのに・・・。
「きっと・・・天女は月へ帰るでしょうから、僕もそろそろ覚悟を決めなくてはいけませんね・・・」
「弁慶?」
「何でもありませんよ。では九郎、おやすみなさい」
「?ああ・・・」
この時少しでも弁慶の異変に気付いていたら、あいつを助けることぐらい出来たのかもしれない・・・。
もう意味のないことだろうけど・・・。
お前は俺を裏切ったりなんかしないと思ってたのに。
疑う必要なんてないんだと、ずっとそう思ってたのに・・・。
「九郎・・・眠らないと明日の戦に支障が出ますよ。明日で最期なんですから、平家との争いは」
「・・・分かってる」
でも、眠れるはずなんてない。だって明日の敵は将臣なんだ。
「・・・九郎」
「何だ・・・」
「もう将臣くんと仲直りする気はありませんか?」
「当たり前だろう!将臣は還内府で、平家の一員で、源氏の兵もたくさん殺してきたんだ!!許すことなんか出来る訳がないっ!!!」
そう、許してはいけないんだ。俺は源氏であいつは平家。相容れることは出来ない。
あいつもそう思っているはずだ。
「・・・そうですか、それは残念ですね」
「何がだ?」
「・・・・・・もし源氏が負けた場合でも、九郎ぐらいなら助けてもらえるかもしれないでしょう?」
「馬鹿なことを言うな!命乞いをするぐらいなら死んだ方がマシだ!!」
「九郎はそうでしょうね・・・でも、最悪の場合は考えておいて下さいね。この先・・・もっと先の未来かもしれませんけど」
「どういう意味だ?」
「それを今説明しても九郎はきっと信じないでしょうから、言いません。そうですね・・・もしどうしようもなくなったら、その時きっと分かりますよ」
弁慶は時々よく分からないことを言う。
そんなことを考えることなど有りはしないのに・・・。
「きっと・・・天女は月へ帰るでしょうから、僕もそろそろ覚悟を決めなくてはいけませんね・・・」
「弁慶?」
「何でもありませんよ。では九郎、おやすみなさい」
「?ああ・・・」
この時少しでも弁慶の異変に気付いていたら、あいつを助けることぐらい出来たのかもしれない・・・。
もう意味のないことだろうけど・・・。