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乙女ゲームのことやら色々よろずに日々思いついたことなどをつらつら書いております。ノーマルも勿論好きですが、腐ってるのも好きなので、苦手な人は注意。
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2024/11/23 (Sat)                  [PR]
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2007/07/24 (Tue)                  devotion story.6
 あの頃は幸せだった。
 婚約者だと言われて育った男の子と一緒に話して、遊んで・・・平和に過ごせてた。それなのに、戦争がそれを壊した。
 どうしてこんなことになったんだろう。
 私は彼に恋をしている。敵である彼に一生に一度の恋をしているなんて、馬鹿みたいだと自分でも思うけど、この気持ちを止めることなんて出来ない。彼以外の男性に恋をする気なんてない。
「ねえ・・・ジャン・・・」
 話し掛けても、もう届くはずはない。彼は私と争う道を選んだのだから。私のことを『好きだ』と言ってくれた彼はもういないのだから。
「私は今でも、あなたのことを愛してる・・・」
 綺麗なあなた。優しいあなた。その全てに惹かれている。どんなことがあったってこの気持ちが変わることはない。
 でも、降伏するわけにもいかない。この土地を守る義務はあるから。死んだ弟の分も、全部。
『幸せになってね・・・』
 それが弟の最後の言葉。
 私の幸せはジャンのもとにしかないのに、結ばれることはもうない。これは聞けない願い。
 それでも、この願いを叶えたいと思う私は、なんて罪深いんだろう・・・。

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2007/07/16 (Mon)                  devotion story.5
 冬の冷たい風がかえって心地よい。
 年中暑い場所もある国。戦争なんて無縁な国のように見えるが、近年そうではない。隣の国と戦争をしている。国土を守るための戦いだ。一時は優勢だったものの、今は劣勢になってしまい、王女が代わりに王をしている国だ。
 この国では女王を認めていない。だから、あくまでも代理。しかし、跡を継ぐ者もまたいない。
 婚約しろだの、何だのと、この国の王女であるエデンは言われていた。
「ジャン・・・」
 どうして彼がこの国を攻めてくるのだろう。彼は平和主義のはず。絶対攻めてなどこないと、心の中のどこかで思っていただけに裏切られた気分だ。
 しかし、彼以外の婚約者なんて考えられない。
「どうして・・・ジャン・・・」
 自分の置かれている状況に、心がうまく対応してくれない。こんな状態の今でも、彼に会いたいと願ってしまう。不謹慎だとエデンは思ったが、この気持ちを止める術を知らなかった。
「会いたいよ・・・」
 彼に会いたい・・・。それだけがエデンの願い・・・。


2007/07/14 (Sat)                  devotion story.4
冬であるというのに、珍しく晴れた日。人々が喜びで満たされている時に、ジャンダルムはある場所に行く。家族の墓へと花を手向けに行くのだ。
 こんな日に兄は死んだ。そんなに昔のことではない。だからだろうか。鮮明に覚えているのだ。兄が死んだ日を・・・。



「兄上!!」
 レニーラントが戻ってきたという知らせを聞いて駆けつけた時にはもう、手遅れだった。見て分かるほどの傷を負っていた。ジャンダルムは兄の手を握り、涙を流した。
「どうして・・・」
「・・・仕方が無いんだよ、ジャン・・・」
 レニーラントの口調は以外にもはっきりとしていた。そして優しかった。
「これも・・・自分で選んだことだから・・・」
「兄上・・・」
「ごめんな・・・俺が戦争を止めていたら、この国がこんなに攻め入られることはなかったかもしれない・・・お前だって悲しまずに済んだかもしれない・・・それなのに、俺は戦争を止めることなんか出来なかった・・・」
 兄にこんな風に謝られることはジャンダルムにとって想定外なことだった。レニーラントはいつもジャンダルムにとって頼りがいのある兄であり、尊敬する兄だった。彼のようになりたいと何度思ったことか・・・。
「父上の日記に書いてあったことなんか・・・読むんじゃなかったな・・・あんなこと書かれてあったんじゃ、父上の意思を無視するなんて出来ないじゃないか・・・」
「・・・?」
「ジャン・・・これからはお前が好きにしていい。お前の意志で動いていい・・・降伏するのも・・・いいんだよ」
「兄上・・・もう喋らないで・・・」
「お前の幸せを心から・・・願っているよ・・・」
 そう言うとレニーラントは目を閉じ、眠っているかのように穏やかな顔で死んでいった。
 ジャンダルムは兄の葬儀が終わってからすぐに父の日記を探した。ジャンダルムは探し物を見つけることは下手だったが、時間をかけて探せば見つかるものだ。
 読むと、そこには戦争を始めた理由や感情が書かれていた。
『April ジャンダルムは隣国に婿入りさせるという約束であったというのに、かの国はそれを守るつもりはないようだ。何のために本人の意思を無視し婚約させたのか、分からない。私はジャンダルムの為にしたのだ。隣の国は暖かい国だ。ジャンダルムにとって過ごしやすいと思って、婚約させたというのに・・・』
『July あの国はどうしてもジャンダルムをいさせる気はないらしい。かくなる上は侵略か。いや、出来れば避けたい。ジャンダルムは婚約者と好き合っているのだから』
『September ジャンダルムが熱を出して倒れた。一週間経ったというのに、未だに高熱が続いている。この国は寒すぎる。暖炉で部屋を暖めようにも、そうするとだんだん空気が悪くなる。それでは病気は治らない。どうしたらいいものか。我が愛しの息子を死なせたくはない』
『December 私は戦争を始めることにする。表向きは領土拡大ということにしておく。そうしないと国民にも示しがつかない。亡き妻がこれを知ったらどう思うだろう。でもどうか、責めても構わないから見守っていてほしいと願う。これを見るのは、私と私の妻だけだ。他の者は見る必要もない』
 これを読んだジャンダルムは戦争の原因は自分にあったのだということを初めて知った。兄もこれを読んだのだろう。だから戦争を止めなかったのだ。
 だったら戦争に終止符を打つのは自分の役目だ。自分の命は望まれた命だ。簡単に散らすことは許されない。それなら進むだけだ。父や兄の分まで。例えそれが間違っていたとしても、自分の中では正しいと思う答えなのだから。


「父上、兄上・・・戦争はもうすぐ終わります。終わらせてみせます。我が国の勝利という形で・・・」
 ジャンダルムはこの戦争で意外な才能を開花させていた。戦争の才能・・・ジャンダルムにとってはいらない才能だったが、今となっては必要なものだ。自分の望みを叶える為には・・・。


2007/07/12 (Thu)                  devotion story.3
幼い頃のジャンダルムにとってエデンはお姉さんのような存在であったが、次第にそれは変化していった。
 初めて2人で外に出かけたときはジャンダルムが手を引いて歩いた。自分の国だから、自分で案内しようと思ったからだ。しかし、ジャンダルムは外に出たことがないので、当然いい場所なんて知らない。それでも率先して歩いた。エデンも楽しそうに歩いていた。
 城の中で遊ぶこともあった。ジャンダルムの兄のレニーラントとエデンの双子の弟のラインとも一緒に。それでも、エデンとはいつもペアだったようなものだ。かくれんぼの時も、鬼ごっこの時も、いつも2人でいた。それが良かった。そのままで良かった。
 しかし、次第にエデンと会えない期間が長く続くようになる。それでも2人の絆は深まるばかりだった。毎日のように手紙を互いに書いていたし、お互いがお互いに恋をしていた。苦しくとも、まだ平気だった。2人は婚約者でいられたからだ。
 しばらくすると戦争が始まった。どうして始まったかなんて、その時のジャンダルムには分からなかった。早く終わることを願っていたが、もう合うことは許されないだろうと心のどこかで思っていた。だから、せめてもう一度会いたくて、ジャンダルムは隣の国に密入国した。ひっそりと、ただ一人の護衛だけ連れて。
 こうしてあらかじめ手配してあった場所でエデンに会った。お互いが自分の立場を理解していて、それと同時に諦めきれないでいた。
「ジャン・・・好きだよ・・・ずっとずっと、小さい頃から・・・ずっと・・・!これからもそうだから!」
「エデン・・・僕もだよ。好きだ・・・ずっと・・・この先の未来も・・・」
 もう会えないと分かっていた。それでも止められなかった。だから、約束をした。叶えられないと分かっていた約束を。
「エデン・・・いつか必ず君を迎えに来るから・・・」
「・・・うん!私も待ってる・・・!」
 2人は初めての口付けを交わす。あんなに長くいたけれど、これが初めてだった。
 この約束がジャンダルムにとってはかけがえのないものだった。約束を守りたいと思った。だから今も必死に耐えている。全てを投げ出してしまいたいと何度も思ったが、ジャンダルムはこの約束がある限り、全てを投げ出せない。
「・・・本当は憎むべき相手なのに・・・」
 先々代の王である父も、先代の王である兄もこの戦争で亡くなった。隣の国は憎むべき相手だと思っているし、ジャンダルムにとっても許せない相手だ。だからと言って、エデンを憎むことは出来ない。愛しさ以外の感情など湧くはずもない。だから苦しい。憎むべき相手と愛しい相手が同一であり、このどうしようもない悲しさだけがじわじわと体中に染み込んでいくようだ。
 兄の言葉がなければ、今頃彼は降伏し、死刑になっていただろう。その方がいっそ楽だったかもしれない。でも、知ってしまったからには、死ぬわけにはいかなかった。


2007/07/10 (Tue)                  devotion story.2
ジャンダルムにとって、この寒い土地はあまりに過酷な環境だ。彼は体が弱い。しかし、倒れることはあってはならない。今は戦争中。王が倒れては国がまとまらない。決定権は全て王にあるのだから、ここで機能が麻痺すれば、それこそ死を意味する。どんなにつらくとも、ここで倒れるわけにはいかないのだ。
 だから、彼は思い出す。愛しき者との思い出を。そこに大きな矛盾が生じていることぐらい、彼だって分かっている。それでも、彼にとって1番の拠り所はそこなのだ。彼女との思い出だけが、ジャンダルムにとって尊い。
「エデン・・・」
 呟いて、応えてくれる人はもう傍にはいないけれど・・・。



「ジャン!!」
 彼を『ジャン』と愛称で呼べる者は限られていた。女性となると本当に少なかった。生まれつき体が弱い彼には、友と呼べる者すら少なかった。
 幼い頃のジャンダルムにとって、彼女は大切な友人であり、婚約者でもあった。
「エデン」
 隣国の第一王女であり、ジャンダルムより1つ年下のエデン。でも、彼女は大変お姉さんらしかった。ジャンダルムより、活発で、性格も明るかった。遊びに来たときはいつでも、ジャンダルムの傍にいてくれた。外に出ることが出来ない彼の横にいてくれた人。外で遊びたいというのを我慢してでもだ。
 エデンがする話はいつも面白いものだった。少なくともジャンダルムの世界にはないものばかりで、エデンと話すのはいつも楽しかった。しかし、ジャンダルムには外に出て、得る知識もなく、ベッドの上で勉強してばかりだったので、楽しい話は出来なかったとジャンダルムは思っている。だから、気になるのだ。エデンが楽しいかどうか。一緒にいたいのかどうかを。その度にエデンの答えはこうだ。
「当たり前だよ。私、ジャンのこと大好きだもん!」
 これほど嬉しい返答などこの世にあるものだろうか。ジャンダルムにとって、今でも宝物である言葉だ。この言葉があるからこそ、彼はまだ立っていられる。そして、あの時の約束を果たす為にジャンダルムは、今生きていられるのだ・・・。



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