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乙女ゲームのことやら色々よろずに日々思いついたことなどをつらつら書いております。ノーマルも勿論好きですが、腐ってるのも好きなので、苦手な人は注意。
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2024/11/23 (Sat)                  [PR]
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2007/08/09 (Thu)                  devotion story.11
「ちょっと、待てよ、あんた。王を刺しておいて逃げられると思うなよ」
「王とはいえ、敵だ!殺して何が悪い!!」
「当たり前でしょ。あなたの主が決定したことに反するものは死罪も当然よ」
 銃声が響く。しかし、この騒ぎの中、それを気に留める者はいない。
「おつかれ、ベティ。これで一応戦争は終結だ」
「まだよ。ジャンダルム様が意識を取り戻していないわ」
「あいつはなかなか死なないと思うぜ。なんせ何度も死にかけた奴だ。そういうやつに限ってなかなか死ねえものだよ」
「あんたって本当に能天気ね、ウィズ」
「俺の勘は外れたことねえんだよ。ある一回を除いてだけどな」


 空は蒼い。春を迎えると、どこも少しずつ暖かさを取り戻し、人々の間に活気が戻ってくる。戦争が終結したのなら尚更だ。
「綺麗・・」
 銀髪の少女は呟く。手には大好きな彼の為に摘んだ花を持って。
「ジャン・・・ジャン、起きてる?」
「・・・うん。今日は風が心地いいね・・・」
「そうでしょ?春っていいね、始まりの季節だもの・・・」
「・・・この国の門出に相応しい季節だ」
「これから大変ね・・・」
「うん、でも大丈夫だよ。必ず成し遂げてみせるから」
「信じてる。ジャンなら出来るよね。だって私との約束も果たしてくれたもの」

 国と国は、両王が婚姻を結ぶという形で統一される。

 国の名はこの国の古語で、意味は『楽園』という・・・。



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2007/08/08 (Wed)                  devotion story.10
夜明けとともに聞こえるのは鳥の囀りではなく、悲鳴だった。


 城が一気に攻め入られて、敵兵が部屋まで入ってくる。それは単に敵が強かったわけではない。警備もままなっていないからだ。それほどまでに統率力がなくなっていた。
(これで・・・終わりかな・・・私も・・・)
 そうエデンが思った時、見えたのは大好きな金色の・・・。
「ジャン・・・?」
「・・・取引をしに来た」
 エデンの知っているジャンダルムには見えなかったが、この人物は確かにジャンダルムだ。ずっと会いたかった最愛の人だ。
「・・・この国をこのまま侵略しない代わりに、この最後の王族である、エデン姫を渡せ」
 国を渡せと言っていることに代わりがないということを誰もが理解出来た。しかし、この要求を飲まないとどうなるかも理解出来る。
「このまま王女を犠牲にし、国民を奴隷とするのか、王女を差し出すのか・・・二つに一つ、選択する余地を与えてやろう」
 エデン自身は前者で良かった。被害は最小限で済むし、ジャンダルムの傍にどんな形でもいられるのなら幸せだ。しかし、それは個人的な意見であり、今まで先祖代々守ってきたこの国を潰すことになることはあってはならないことだ。
「・・・ジャン・・・」
「どうする、エデン。あなたの意志次第で決まることだ」
「私は・・・」
 どうしたらいいのかなど、今すぐ決められることではない。しかし、今出さなくてはならないのだ。追い詰められているのはこちらなのだから。
 そしてふと亡き弟のことを思い出す。彼ならどうしただろうか、どうすることを望んだだろうか。
 きっと優しい彼のことだから国民を最優先させただろう。この取引が不平等かもしれなくても・・・。
「私はどうなってもいいので・・・どうかみんなは・・・」
「そうか・・・確かにその願いは聞き入れた・・・ありがとう、エデン」
 ふわっと笑った彼は、昔の彼だった。それにエデンは安心したが、後ろに見える影に血の気が引く思いをした。
「ジャン、危ない!!」
「お前さえいなくなれば、この国は・・・!!」
 エデンが急いで近付こうとするが、ジャンダルム自身によって庇われる形となって抱きしめられる。
「ジャン!!」
 力を無くし、膝から崩れる彼を受け止め、エデンは叫んだ。今までどんなことがあっても、こんな大きな声で命令などしたことがない彼女がこう言った。
「早く医者を呼んできなさい!!早く!!」
 この気迫に大勢の侍女たちが、動き出す。今まで命令など聞かなかった貴族たちまでもがだ。
「ジャン・・・ジャン・・・!」
「エデン・・・僕は約束を守ったよ・・・必ず会いにいくって・・・」
「馬鹿なこと言わないで!それであなたが死んだら意味がないのに!!」
「ごめん・・・エデン・・・」
「ジャン・・・死んだら嫌だよ・・・そんなの・・・」
 ジャンダルムを刺した人物はもういなくなっていた。どこかに逃げたのかもしれない。でもそんなことは関係ない。大切な人の命の灯火が消えようとしている状態で周りなど気にしている場合ではない。

 どうか、どうか死なないで・・・それなら私が死んだ方が良かった・・・。

 国をうまく統治できなかった自分が死んだ方が・・・。

 彼のいない世界など考えるのも嫌だ・・・。


2007/08/05 (Sun)                  devotion story.9
「夜のうちに包囲する。敵には気付かれぬよう、十分心がけろ」
 自分から『敵』という言葉を使ったことに、ジャンダルムは自嘲の笑みを零す。大切な相手に対して、はたして使うべき言葉だろうか。
 このまま少人数で攻め込み、裏切りの者達に増援を頼んである。一か八かの賭けのようなものだ。もし、また寝返られでもしたらこちらが不利になる。それを分かっててしていることだ。このまま自分が死ねば、戦争の結果は火を見るより明らかだ。それで自分が死んでも、それで後悔などしない。戦争を終わらせる為に、そしてもう一つの約束を守る為に、ここにいるのだから。
「本当にいいのか?ジャン」
「いいんだ、これでいい」
 もう既にジャンダルムの中では計画は決まっている。賭け事のような計画であるが、それで構わない。目的を遂行するには一番いい方法だとジャンダルムは思っている。
「このまま、城の中まで攻め込み、形勢は確実に我が手中に収めた後、交渉をする」
 この交渉がうまくいく確立なんてないに等しいとは思っているが、少しでもあると信じ、今ここにいる。失敗は許されない。
「お前がそう決めたんなら、文句はねえな」

 月が空から辺りを照らす頃、計画は実行される。


2007/08/01 (Wed)                  devotion story.8
この世に信じられるものなど、どれくらいあるのだろう。周りは敵だらけというのに・・・。

「裏切る・・・?」
「はい、エデン様。あくまでも噂でございますが・・・」
 噂は噂であってほしい。でも、もしかしたら・・・。
「・・・ジャンが手引きしているの?」
「それも分かりません。しかし、何か関係があるかもしれません」
 ジャンダルムがそんなことするはずがないと信じてはいる。しかし、本当かどうかなんて分からない。戦争は未だに続いているのだから。
「・・・ジャンがそんなことするはずがないわ・・・」
 これは願い。そんな保障なんてどこにもない。敵同士なのだから。
 だからといって、他の誰に知らせることができるわけでもない。いらぬ心配は破滅のもとでもある。問題は家臣の心を惹きつけるにはどうしたらいいかだ。そんなこと、エデンに思いつくはずもない。彼女は生粋のお嬢様なのだから。
 世が世なら、彼女は姫の鏡であっただろう。明るく、教養もあり、血筋もいい。文句の付け所などないはずだった。しかし、今は違う。王とういう立場をとっているのであれば、美しく可憐な花では駄目なのだ。彼女の王として足りない部分が家臣の心を離れさせる。今更学びようもないことだ。時間が足りない。
「エデン様、本当かどうかは私が見定めます。どうかご安心して下さい」
「ベティ・・・」
 ベティが唯一の味方だ。幼い頃から一緒にいる侍女のベティ。いつも楽しく笑いあい、苦しみも分かち合った仲だ。家族とも言える存在だ。
「それでは用事がありますので、失礼します。エデン様」
「うん・・・」

 ベティはある場所に向かった。誰にも知られていない秘密の場所。ここを知っているのはこの世でただ一人。
「出てきたら?ウィズ」
「待ちくたびれたぜ・・・ベティ」

 共通の願いはただ一つ。戦争を終わらせること・・・。


2007/07/31 (Tue)                  devotion story.7
終焉は訪れる。それがどんな形であっても・・・。

「王都に攻め入るのか?本当に」
「ああ・・・」
 このブリザード王国で唯一ジャンダルムに敬語を使わずに話す男の名はウィズダム。ジャンダルムの兄と乳兄弟である。彼の本当の主はもういないが、彼はいたって前向きな男で、今はジャンダルムの護衛をしている。
 ジャンダルムはこの男が私的な理由で嫌いだったが、腕は立つので、突き放すことはなかった。
「いいのか?婚約者殿がいるんだぜ?」
 意地悪く笑っているこの男に苛立ちを覚えるが、それを言っても仕方が無いので言わないでいる。昔からこの男に口で勝った例がない。
「一気に攻め入りたい・・・王都から出られる前に」
「だから裏切りを誘発するってか?つくづくやることが徹底してるね、お前は」
「戦争を早く終わらせるためだ」
 戦争を終わらせる。それがジャンダルムの願いだ。これを達成せずして、前に進むことなどありはしない。
「じゃあとうとうお前も出るのか?戦場に」
「・・・ああ」
「せいぜい病気をしないようにな、ジャンダルム」
「うるさい、ウィズ」
 とにかくジャンダルムにとって苛立ちの根源であるこの護衛を早く自分から離したかった。これから戦場に出れば嫌でも長時間傍にいなければならない。それならば、今ぐらいゆっくり一人でいてもいいはずだ。
「じゃあ俺は退室しますよ、ジャンダルム様」
「思ってもないことを・・・」
 ウィズダムは能天気な男だ。そこが苛立たしくもあるし、また羨ましくもある。しかし、その男の私生活はどうなっているのかは甚だ疑問なところもある。不在であることが多い為だ。護衛という立場がありながら、一週間ぐらいいなかったりすることがしょっちゅうだし、何をしていたかすら言わない。
 それでも彼を傍に置いておく理由は、兄との共通する思い出があるからだろうか・・・。
 そんなことを考えていて、ふと気が付く。まだ自分が人間らしい感情を出せていたことに。
 何だかんだ言っても、ジャンダルムにとって、ウィズダムは心を開ける者なのだ。

 それでも全てを明かせるわけではない、お互いに・・・。


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